Your Sweet Night

主に防弾少年団と韓国語の勉強。(ときどき他ドルも)

〈過去インタビュー〉(2015.04) ラップモンスター 本物の話


 

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※2015年記事 

 

ラップモンスターは自らの存在理由を証明したいと話す。考えも悩みも多すぎる上に、歴史に名を遺(のこ)すという簡単ではない野望を携え、いつも悲壮である青春。今、彼が防弾少年団ではない自分の話を始める。

 

ラプモンに初めて話しかける

明らかに中二病のような部分がありながら、何も知らないのではなく、明らかな自分の考えと背景知識がある。物知りなため何か一つを説明しても、論理的に順序と因果関係を問い詰め、相手が理解する話し方を知っている。何より、自分が何をしたいのか、なぜしたいのかを知っていて、そこにすべてを捧げる準備ができている。ソロアルバムの代わりに、ミックステープを持って初めて世界に臨もうとするラップモンスターを、あなたが注目しなければならない理由、そして、このインタビューを読む前にあなたが”胸キュン注意”しなければならない理由。

 

”練習生”の頃のラップモンスターをよく見かけた。別のことで私が彼の所属事務所を毎日のように出入りしていた頃だったのだが、ラプモンは夜遅い時刻、あの同年代の子であれば誰でも一つくらいは持っていそうな、ブラックのダウンジャケットの姿で事務所に現れ、プロデューサーたちと話を交わして帰っていった。あの頃行き来して見たラプモンは、さほど特別なものがない男の子だった。あえて言うなら、黒い、痩せている、程度?そして、”若い子がどことなく、近づく難しい気運を漂わす”(もう少し正直に言うと、それゆえ”運がない”)くらいだ。特に関心がなかった”あの子”が、なぜ突然気になり始めたのか?ある日、隣の人物に「あの子は誰だ?」と何となく尋ねたのだが、その返事が少し意外だった。「あの子?間違いなく天才だよ。あの子が16才の時に書いた歌詞があるんだけど…めちゃくちゃすごいよ。あの年齢でどうやったらあんなことを考えてあんな歌詞を書くのか…」

 

とは言え、それほど大きな関心が生まれることはなかった。私はヒップホップよりは甘いバラードが、天才的であるよりは可愛くかっこいいアイドルを推す平凡な”ヌナペン”(お姉さんファン)だからだ。私がそうであろうとなかろうと、それから1年ほど後、ラップモンスターは”防弾少年団”の一員になり世に出てきて、綺麗な顔、甘い声のアイドルたちの中で、バンタンはかなり善戦して今日に至る。

 

反面、ラプモンは誰も予想しなかったポイントで話題になった。脳がセクシー(知的で賢い)な男性たちを集めたトークショーで、最年少として最もセクシーな脳、最も自由な考え方で、大衆の心を掴み、”ラプモン”はアイドルやヒップホップに専門外の一般のヌナ(年上の女性)の間でも、親しまれる名前となった。別名”脳セク男”ラプモン・・・ ヒップホップシーンには、音楽を新しく作るのではなく、もともとあるビートに自分のラップを足して発表するミックステープというものがあり、数日後にラプモンが初のミックステープを世に出すという話を聞き、これはチャンスだと思い彼にインタビューをお願いした。そういえば、4~5年の間彼に何度も会い、何度も機会があったけれども、直接話をするのは初めてだった。

 

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ラプモンと言えば、練習生の頃、他の人たちが”あいつは天才だ!”と口を揃えていたのが一番先に浮かぶ。みんながそんなに言うのならまあそのようだ、と思っていたのに、一方では「何だ?何がそんなにすごいんだ?」と思いながら、つまらない反発心のようなものも少し生まれた。

天才なんてそんな…人々が僕をそういう風に見るのは何というか…小部屋の哲学者のような感じがあるからだと思います。僕が年齢の割に色んなことを考えるんです。世の中はどうだ、僕はどんな人なのか、世の中と僕はどんな関係を結んでいるのか…。こんなことが知りたくて、ニーチェも読んで、カーネギーの心理学のようなものも探して読んでるんですが…そんな考えを幼い子供がして、それが音楽で表現されているから…天才だと思うのだと思います。

 

世の中と自我の存在論的な根源と関係を探求する21歳だなんて、少し新しくもある。世の中には単純に楽しむ道も多く、単純であるほど生きるのが簡単で面白くなる側面もあるのに、いったいなぜそんな複雑な悩みを持つのか?

中二病のようなものでしょう、まあ。(笑)でも中二病が悪いことばかりではないじゃないですか。小学校二年生のときから詩を書いていたんです。そのときから僕は、絶望と孤独、僕の自我と世の中との関係に執着していたんだと思います。そのとき書いた詩の中に、僕を落ち葉に比喩した詩があったんですが、そうやって世の中と僕を分離させて、それを覗き見て悩むところに楽しみを感じます。生きている実感、何かをしている実感がするんです。あ!僕が天才のようなときが時々あります。「お、どうやって僕がこれを書いたんだ?」と思うときです。僕が書いておいて「うわ!」と思う確信がするものをみんなに見せると、同じフィードバックが返るときがあるんです。もしかすると自己陶酔かもしれませんが、僕は人々が実感することをキャッチする能力があるみたいだ、と思うんです。でも、そんなときは本当に少しの間で、大部分の時間は挫折と苦痛の連続です。

 

 挫折と苦痛の時間についてもう少し詳しく聞かせてほしい。

挫折はまあ、一日のうちでも数百回ずつありますよね。最近は次のバンタンのアルバムを作業中なんですが、僕がしばらく僕のミックステープ作業をしていたんです。なのに、その二つのスタイルが完全に違います。だから単語一つ、歌詞一つにも詰まって挫折するんですが…断片的な例だと、昨日も夜9時から今日の朝までたった数節だけ作ればいいのに、深夜2時半になるまでずっと他のことをしていました。コミュニティに入って上がってくる文章を見て、無駄な漫画を見て、ニュースを見て…そうして朝7時にまたコンピューターをつけて作りました。そうやって書くとき、「お?これいいな。これは確信が持てる。」と思えば、もの凄く幸せで楽しいんですが、実際その瞬間は簡単に来ないんです。なので大変ですね。あぁ、僕がこのくらいはできると思ったのに、こんなこともできないのか、と思うので…人々が言う”創作の苦痛”というものはこういうことではないか、と思います。でも、乗り越えなければいけないですよね。打ち勝たなければいけないんです。

 

ミックステープはなぜ出すのか?過去数年間バンタンソニョンダンが歩んできた道を見ると”アイドルがヒップホップをする?君たちがヒップホップを知ってるのか?”という偏見に立ち向かい、闘ってきた感じがあるがその一環か?

そんなこともあります。GDやジコヒョンを見ると、音楽がもの凄く上手なのにも関わらず、未だにアイドル出身という理由で認められない人たちがいるんです。まず、僕は自信があるのでミックステープを出すのに、僕がここまでするのに、それでもヒップホップだと認められないなら、もう僕もどうしようもない…そんな気持ちもあります。

 

何だか少し悲壮に聞こえる。

はい、悲壮です。心も悲壮で、ミックステープに入れた音楽も悲壮で…(笑) 個人的にはこれを出すことで、僕自身を定立する意味もあります。僕自ら起点を作るんです。僕がどんな人かについて、自ら整理しておく一種の論文のようなものというか。一言で1単元終わった感じです。

 

バンタンのアルバム作業とラプモン個人の音楽は大きく異なるのか?

違いますよ。バンタンが追及する音楽は青春です。10代後半と20代前半の人たちが考え、悩むことに集中し、それらを代弁する音楽がバンタンの音楽なら、僕の音楽は僕自身です。僕が持った内面の闇、悩み、欲望、醜さなどを、ありのままに見せるのが僕の音楽です。僕の中にある僕の全て…うん…もの凄く二重的で、孤独で、寂しがり、寂しく思いたくて、寂しくて苦しむのに、だからと言って寂しいことを嫌がりはしない…彷徨う内面を盛り込むんです。また…僕は人間は誰でも二重的だと思うんですが、悪魔でもあり、てんしでもあると…その両面性を極端に持っている人が僕だと思います。それをあえて隠したくなくて、音楽で人々にちゃんと見せたいんです。

 

少し前、ウォーレンGとのコラボ曲も出たが…バンタンよりラプモンにより関心を持っている人々なら、その曲をすごく好みそうだと思った。ウォーレンGとの作業はどうだったか?

ウォーレンGが言ってくれた言葉の中で、僕が一生忘れられない言葉が二つあります。一つは、ヒップホップはいつも誰でも歓迎している。人種を離れ、地域を離れ、ヒップホップが好きな人に片隅を渡す用意が常にされている音楽が、ヒップホップだ。だから、偏見に閉じ込めるな、ということで、もう一つは、君は上手くやっているから、人々が何と言っても君を信じて君が望むことをやりなさい、ということでした。誰でも言う言葉ですが、その方が言ってくださる言葉なので、より身に染みたのだと思います。その方が癖のようにこう仰るんです。「イッツ ソー グッド(It's so good)」それが一種の呪文のようでした。ハクナマタタみたいにです。”イッツ ソー グッド”、最近もその言葉を思うと少し心が楽になります。

 

ヒップホップの虜になり、14歳のときからホンデのヒップホップ公演場で生きるようにして今日に至ったという話を聞いた。

そうです。僕がホンデに公演を見るために通っていた頃にはシュプリームチームが本当に熱かったです。世に出る前だったんですが…そのときは今のようにイリネアが他をすべて圧倒する状況ではなく、Jiggy Fellaz、ビクディル、ソウルカンパニー、Verbal Jint…多様なミュージシャンが玄武、白虎、朱雀の感じで個性を持ってお互いに戦う雰囲気だから、一様にみんなすごくかっこよかったです。その前にはエピックハイが僕に本当に多くの影響を与えてくれました。国内ではエピックハイとガリオン、海外ではナスとエミネム。その4チームが”これから僕はどんな音楽をしなければいけない”と思える道を磨いてくれたくれたんだと思います。

 

その4チームにどんな共通点があるのか?

4チームともみんな性向は違うけれど、歌詞に本当に偽りがなく、僕もこの人たちのようにしたいということを考えるざるを得なかったんだと思います。本当に真実よりも更に真実のような本物の話をする人たちだと思いましたね。

 

初めて直接書いた歌詞が気になる。どんな内容だったのか、どんな本物の話をしたのか。

タイトルは覚えてないんですが…2007年9月でした。ジャングルラジオ(以下、ヒップホップコミュニティ)アマチュアプロデューサーのビートで曲を作ったんですが、その当時にもエミネムの影響だったのか、もの凄く悲壮でした。”見栄が混ざった不幸を大事に仕え、ドミノを倒して僕はこうやって出ていくんだ。” まあ、こんな内容でした。あり得ないですよね。ドミノをなんで倒すのか?見栄を混ぜて…(笑)14歳のときだったんですが、そのときも結局したかった話は今と同じだったんだと思います。

 

ヒップホップは音楽のジャンルだが、一種の宗教のようでもあり、哲学のようでもある。ヒップホップというのはいったい何なのか?なぜ男性たちがそれほど熱狂するのか?

ヒップホップを定義するのは、愛を定義するのと似ています。世に60億の人がいれば愛の定義も60億個存在するように、ヒップホップの意味も人によって違うものなので。辞書的な定義こそ可能でしょう。サウスブロンクスというところで、1970年代にDJハルクという人がいました。その人が主催となってパーティーをし、ビートをブレイクしながらそのブレイクに誰かがラップをして、誰かはダンスして、また誰かはグラフィティをして…そうしてヒップホップが誕生し、それがヒップホップの4大要素だと言われていて、そんな辞書的な定義こそ誰でも知っていることですが、その精神は何だと言うと…一言では説明できないですね。僕を表現する一つの手段でありながら、自由と反抗の意味になることでもあって。人々が一緒に遊んで楽しむものなので、平和と愛というメッセージを込めることもあって。ポケットモンスターだとすると、メタモンのようなものです。何にでもなることができるキャラクター。僕個人的には、ヒップホップは世の中です。僕が生きていて、生きていく世界…難しいですよね?実は僕もまだ難しいです。

 

ヒップホップをよく知らないせいか、ヒップホップミュージックよりも、文化やファッションのようなものの方が理解できない側面が多い。ゆらゆら揺れる金のネックレス、銃乱射、まあそんなイメージ・・・俗にいうswagというものもよく理解できない。

銃を撃って麻薬をする文化は、ヒップホップそれ自体ではないんです。ヒップホップミュージックの周りで生まれた副産物というか、そんなもので、ヒップホップ自体ではないです。ヒップホップファッションは明確に思い浮かぶイメージがあるとは思いますが、最近はそれも少し幅広くなっている傾向があります。エイサップ・ロッキーやカニエ・ウェストを見てください。ずるずる引きずるズボンをあまり着ないんです。swagは理解しようとするなら、”独立独行”がヒップホップで持つ意味を知らなければいけません。ヒップホップでは独立独行が凄くかっこよくて、重要な概念です。JayZを例に挙げてみます。JayZは麻薬商でした。バークレイズセンターというもの凄く大きなスタジアムの屋上で麻薬を売っていた人なんですが、成功してその建物を買ったんです。その建物を買って、ヒップホップファッションで着飾ったあと、屋上に立ってその建物を見下ろす姿を撮って上げたんです。それを見てみんなやられましたね。どれだけかっこいいか。昔JayZがこんな歌も出しました。"99 problems"という曲なんですが、"僕は問題がとても多いやつなんだ。でも女性問題は一つもない。"とラップをしたんですが、後にビヨンセと結婚したんです。最高じゃないですか?麻薬商から始まって、最高の富豪になり、世界で一番かっこいい女性と結婚して。それが男性たちに夢と希望を与えるんです。それを世の中に自慢し、曝け出すのが"swag"でして。たとえバレバレな自慢をしても、それを憎んで嫌うことはできないですよね。どん底から這い上がって、自分の力で直接成し遂げたんですから。

 

ファッションの話に戻る。ラプモンのファッションについてファンたちの不満の声が上がったが…(笑)

ゴシックにハマってモノトーンばかり着ているんですが、僧侶みたい、魔法使いみたいだと嫌がるファンたちがいらっしゃいます。何年か前にリックオウエンのショーを見たんですが、すごくかっこいいんです。「あの真っ黒い服は何だ?」と思って完全に見惚れていました。でもゴシックルックがお金もかかるんですが、勇気もめちゃくちゃいるんです。きっと僧侶みたいだという話をするでしょうね。それでも僕はこれがとても好きなんです。服のスタイルで、今までしてきた悩みや僕が持った孤独のようなものを全て表現できると思うんです。まだ10%も足を浸せていないと思いますが、一度最後まで行ってみようと思ってます。

 

脳セク男で最近大きな関心を集めているが、ラプモンの理想形も"脳セク女"だと聞いた。ラップモンスターが思う”脳がセクシーな女性”はどんな女性か?

まず、主観が必要ですよね。倫理的に間違ってるのでなくて、自分だけの主観にしても、それを不自由なく表現できて、伝えられなければいけないです。その過程で話す雰囲気だったり、そんなものが僕に響かないとですよね。一言で僕がこの人から何か学ぶものがある、僕はこの人をもっと知りたい、この人と話せば僕が豊かになる気がする、という感じを与える人がセクシーです。それと、寂しさを知っている人がいいです。寂しさについて僕が話せば「毎日何がそんなに寂しいの?」と言うのではなくて、「あぁ、分かる気がする」と言う人ならいいですね。

 

最終的にヒップホップを通じてラップモンスターが世の中に言いたいこと、あるいは自分にかけたい言葉は何か?

ただ、僕は今こうで、こんな人で、こうして生きてきたけど、今こんなことを考えている。そしてこれからこうするんだ・・・人はどこまで行っても自分の存在を確かめたがるじゃないですか。僕が音楽をしたい理由は、音楽を通じて僕の話をしながら自らの存在理由を証明するためであるようです。味気ない人ではなく、歴史に残る人になりたいです。一度しかない人生ですから、他の人に果てしなく影響を与え、希望を与え、夢になる人になりたいです。そのときまで前に進み続けます。それが世界に僕の存在価値を証明して、僕自身を証明することなので。

 

 

(発行 2015年4月号)

 

元記事はこちら↓

랩몬스터의 진짜 이야기 : INTERVIEW : 네이버 포스트

 

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約6年前のナムジュンのインタビュー。

ずっと自分で訳したかったものを勉強も兼ねて訳してみたけれど、20歳になりたての彼と今の彼が表現する言葉や内容に、変わっていない部分や変化した部分があって、面白かったな。(長かった…)

 

ナムジュンの話が大好きなので(それはアミならみんなか)、またVliveでも色々と話してほしいな…。

 

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