Your Sweet Night

主に防弾少年団と韓国語の勉強。(ときどき他ドルも)

〈花様年華〉2022/07/24 ジョングク


コンテナの壁に「ジョングク退院おめでとう」と書かれ.ていたが、そんな雰囲気ではなかった。狭いコンテナの中の空気は知らない緊張感で爆発するように膨らんでいた。思い返せば最近はいつもそうだったと思う。


ソクジンヒョンが外に出てしまったのはあっという間だった。テヒョンヒョンが急いで付いていき、他のヒョンたちも視線を交わせながら後に続いた。テヒョンヒョンがなにか言葉をかけたが、ソクジンヒョンは聞いていないようだった。僕はヒョンたちの後ろからソクジンヒョンが車に乗るのを見ていた。


車は軽くバックをし、横に方向を変えた。コンテナから流れてきた光が車体に落ちた。バンパーに出来ている事故の跡が少し見え、闇に埋もれた。おかしなのはそれを見ても平気なことだった。すでに知っていたことを確かめたに過ぎないと言っても、手で触れる確かな事実の前に立てば複雑な気分になったり衝撃を受けそうなのに、現実はそうではなかった。


暗闇の中に消えたソクジンヒョンの車の上に、あの日の夜僕に向かって迫ってきたヘッドライトの光が重なった。体がふわりと浮かんだ感じ、唾を飲み込むことも呼吸をすることも出来なかった瞬間、突然全身が発作的に激しく揺れたときの恐怖。意識を失いながら感じた我慢の出来ない寒気。死の恐怖。その瞬間見えた車のバンパーの事故の跡。


コンテナの中に入った。「ジョングク退院おめでとう」ジミンヒョンの字を見上げながら椅子に座った。ふと事故の時に怪我をした足がずきずき痛んだ。ヒョンたちはなかなか入ろうとしなかった。何か僕が知らない話をしていた。


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