Your Sweet Night

主に防弾少年団と韓国語の勉強。(ときどき他ドルも)

〈花様年華〉2022/05/28 ホソク


あの海から帰ってきたあと、俺たちはお互いに連絡を取っていなかった。特別な理由はなかった。ソクジンヒョンとテヒョンが口論をしたようで、帰り道でジョングクが違う道に行ってしまったがそれが疎遠になった理由ではなかった。それなら何が問題だったのだろうか。だからと言って俺から連絡をすることもなかった。特別な理由がない。もしかするとそれが理由のような気もした。


あの日を思い出すと、いつも突然吹いて来た砂風が浮かんだ。ソクジンヒョンが展望台へ上がり、テヒョンが後を追い上がって行ったあと、俺たちはみんな手の平で日差しを遮り展望台を見上げた。いつかもこんなことがあったような既視感のもとに、変な不安があった。ヒョン。僕たちが前に来てた海ですよ。願いを叶えてくれるっていう岩があったところ。それがここじゃないですか?ジミンの言葉に少し周囲を見渡した。そうしたあとまさに次の瞬間だったと思う。テヒョンとソクジンヒョンが展望台の下に落ちそうなほどふらついていると思ったら、砂風が吹き始めた。両腕で顔を覆いながら目をぎゅっと瞑った。展望台の上で何が起きているのか怖くて苛立ったが、吹きすさぶ砂風の中で目を開ける気力は起きなかった。


風が静まり顔を上げると、ソクジンヒョンが展望台を下りて来るのが見えた。展望台の上のテヒョンが頭を下げたままその姿を見ていた。展望台を下りたソクジンヒョンはそのまま車を出発させた。俺はそちらへ向かって一歩踏み出したが、それ以上できることはなかった。


その日の夜、俺たちもソンジュに帰って来た。ソクジンヒョンが先に帰ると俺たちには夜を過ごす宿舎も、家に帰る足もなかった。帰ろうと先に言ったのはナムジュンだった。みんながっかりした眼差しだったが、無理やり足を動かした。俺たちはみんなナムジュンが何とか計画通りに海の旅行を続けようと話してくれることを願っていたのかもしれない。しかし、ナムジュンは家に帰ろうと言い、そうして俺たちの旅行は終わった。浮かれた気持ちで待っていた海の旅行は滅茶苦茶になってしまった。



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