Your Sweet Night

主に防弾少年団と韓国語の勉強。(ときどき他ドルも)

〈花様年華〉2022/06/12 ナムジュン


f:id:purple1765tae:20200416000207j:plain


田舎の村は少しも変わってない姿でそこにあった。季節の変化を除いては、すべてが同じだった。僕は川辺の店を避けようとあえて村を大きく回り、村の休憩所側に向かった。道はだいたい上り坂だった。日差しが暑く、汗が出た。スクーター一台がホコリを立てながら僕たちを追い抜いた。テヒョンが空咳をしていたので、ひと言ふた言文句を言った。少し先に、事故が起きたカーブが目に入った。


今では何の標識も残ってない道端。テヒョンはまるでそこに誰かが倒れでもしたかのように膝を曲げしゃがみ込み、アスファルトを見下ろした。その場所に向かうバスの中で、僕はテヒョンに数年前の冬の出来事について話した。川辺の食堂での競争、どんより曇った空からぽつりぽつりと降って来た雪のかけら、傷がついていたテヒョンの顔、スクーターが滑りながら全身の産毛が逆立つようだった瞬間。テヒョンの事故と死。そしてその出来事がどれだけ簡単に片づけられ、忘れられたのか。できない話もあった。お願いされ話していたテヒョンの表情とその田舎の村で生きていたすべての瞬間、僕がその友人をテヒョンという名前で思い出した事実。


ヒョン。僕たちは死なないようにしよう。振り返ればテヒョンが手の平をアスファルトの地面に当てたまま僕を見上げていた。僕はなんとか答える言葉を探していたけれど、何の言葉も浮かばなかった。テヒョンの手の平の下に、白い線に、そこに横になっていたテヒョン。いや、田舎のその友人の姿が見えるようだった。そんな風に死んでもいい人はこの世にいない。人が一人が死んだのに、誰も責任を負わず心から悼まなかった。僕もやはり同様だった。


下りよう。僕の言葉にテヒョンが体を起こした。今からどこに行くんですか?テヒョンの質問に、僕は答える代わりにこう言った。この前海に行ったとき、僕が頼みがあるって言っただろ?今話すよ。それですべて一緒に解決してみよう。


.