〈花様年華〉 2022/07/24 テヒョン

どれだけそこにそうしていただろうか。三階の廊下に誰かが歩いて来るのが見えた。距離がかなりあり顔は見えなかったが、痩せた体型の中年女性であるようだった。女性は廊下の手すりに両手をかけては遊び場の方を見下ろした。そして煙草に火をつけた。ライターの火がきらっと光り消えた。青い夜明けの空気の中で、煙草の煙が広がって行った。

僕は微動だにせず、その姿を見上げた。日が昇ろうとしているのか、辺りが白く霞むように明るくなってきた。女性は依然として手すりに手をかけ、外を眺めた姿勢のまま、一本の煙草を燃やしていたが、もう一本を取り出しくわえた。

あの人も僕を見ただろうかと思った。遠くて僕の顔は見えなかっただろうが、この明け方に、どんな人が遊び場のブランコに座っているのを見て何を思ったのだろうか。ブランコが軋まないよう、両手と足に力を入れ支えた。煙草の灯りが消えたり大きくなったりを繰り返した。日が昇っていった。明るく昇る光ります浴びながら、女性は最後の煙草を燃やした。そうして背を向け中へ消えていった。僕は廊下の左側からドアを一つずつ数えてみた。304、305、306。だからあのドアは母さんの家だった。

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